ラジコを再生するラジオを作った話

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作ったキッカケ

ある時、家族のためにいい音のラジオが欲しくなりました。

ラジオをいい音で聴きたいとなると用意するべきはこのあたりでしょう。

  • いい音源
  • いい再生装置

いい音源

ラジオをいい音で聴くための音源といえばradikoですね。FMとは比較にならないクリアな音声です。

いい再生装置

再生装置は安価なオーディオ用のものを用意すれば良いでしょう。

課題

さて、ここまで考えたところで課題にぶつかりました。

ラジオを贈りたい家族はPCもスマホも使ったことがありません。radiko無理じゃん。

いや、できる。ラジオのUIをもつradikoプレイヤー(物理)があればいいんです。

でも世間ではradikoが再生できる簡単なUIのデバイスは売られていません。

ということで、ラジコが再生できるラジオを作ることにしました。

作る前に

材料あつめ

まずは材料を調達します。製作が完走できるか自信がなかったので、できるだけ安価に揃えます。

材料

押し入れで熟成されていた部品たちを使用します。

筐体

3D CADで設計し3Dプリンタで出力します。

小物

AliExpressでいい感じのボタンやケーブルを調達しました。

全体像

実際に家族が使用するシーンを想像しながら検討します。

ボタンはシンプルに4つだけ。これならradikoが分からなくてもラジオとして使ってもらえるはず。

電源以外のボタンはボタンを押すとLEDが点滅するので押したことが分かるようになっています。

  • 電源ON/OFF
  • チャンネル切替
  • 音量+
  • 音量-

ディスプレイにはチャンネルと音量を表示します。

電源はモバイルバッテリー。

LiPoバッテリーと制御基板を買って…というのも試しましたが、このラジオは自分で使うものでありません。

十分な安全装置の付いたモバイルバッテリーをそのまま使用することにしました。

モバイルバッテリーの充電はマグネット式のUSBケーブル。これならUSB端子を扱ったことのない家族にも扱えるでしょう。

音の検証

今回の一番重要なポイントは "ラジオとしての音の良さ" です。

会話がよく聴こえることが大切。

用意した部品、3Dプリントしたエンクロージャーで果たしてまともな音が出せるのか?

密閉型、バスレフ、パッシブラジエーターなどいくつか実際に組み立てて検証しました。

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聴き比べた結果、3Dプリンタで造形できるサイズの兼ね合いもあり密閉型にすることに決定しました。

製作

筐体設計の前に

中のパーツをFusion360モデリングします。

raspberry Pi zeroはgrabCADにあったデータをお借りしました。

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筐体設計

さきほどモデリングした部品を組み合わせつつ、3Dプリンタの造形エリアに収まるサイズで設計します。

部品のレイアウトを見ながら設計できるって便利。

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プロトタイプを作る

3Dプリンタがあると、さっと手に取れるプロトタイプを出力して確認できます。

  • 1/10スケールの全体を出力して雰囲気を確認
  • 持ち手部分だけを数パターン出力して持ちやすい形状を確認 f:id:polaroidoon:20210918120958j:plain

出力

途中で3Dプリンタの調子が悪くなり作業が進まず、数か月製作が止まりました。

試行錯誤しましたが、最後はあきれ果てて3Dプリンタを買い替えたところ、簡単に出力できました。

先代3Dプリンタのあの苦労はなんだったんや・・・ f:id:polaroidoon:20210918174531j:plain

プログラム

raspberry Pi で以下のプログラムを実装します。

  • ボタン制御
  • ディスプレイ制御
  • radikoNHKのらじるらじる再生

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あとは電源ON/OFFからSDカードを保護するためにファイルシステムをReadOnlyにしておけば完成です。

組み立て

いい感じに組み立てます。 組み立ての順番を考慮していない設計だったので相当苦戦したのは秘密 f:id:polaroidoon:20210918115643j:plain

できた。

想像してた以上にいい音が鳴ります。

密閉型なので低音は控え目ですが、会話のよく聴こえるラジオに仕上がりました。 f:id:polaroidoon:20210918120151j:plain f:id:polaroidoon:20210918120205j:plain f:id:polaroidoon:20210918120224j:plain f:id:polaroidoon:20210918120243j:plain

反省点

組み立てを考慮できていないとか、寸法が雑だったりとか 設計するうえで改善するべき箇所がたくさんあります。

いつか反省編製作後記としてもまとめるかも。